「死ね」「ウザイ」
そんな言葉をいつでもどこでも、近くにいるクラスメイトに向かって吐く子供。
持ち物にもいたずら書き。「死ね」と殴り書く。
それは八つ当たりに近く、相手は誰でも構わない。
気に入らなければ舌打ちし、暴言を吐き、殴り、蹴る。
反応がないと永遠に机を小突き続けたり、肘で押し続けたり、髪を引っ張ったり。
似たような子が悲しいことにクラスに男女交えて4,5人いるらしい。
(ひとクラスに集まってしまったこと、クラス編成を間違えた、と学校側が認めたらしい。詳しくは知らんけど)
そしてずっと(は大げさか?ところどころ?)うちの娘ちゃんが被害に合っていた。
ずいぶん前に、そんな話になったとき、私は一般論で
「苛められている子にも直すところとか、何かあるんじゃないの?」
なんてことを何も考えずにいっていたけれど、それは違う。
いじめる側に問題があるのだと、今はきっぱりとそう思う。
誰とでも仲良く、なんてキレイゴトだ。
こんなこと、娘に言うんじゃなかったと、そのせいで追詰めてしまったのではないかと、モノスゴク反省した。
娘はこの半年ほどで何度も倒れ、持病も発覚した。
持病だったのだからその原因すべてがイジメにつながるわけじゃないけれど、発作のきっかけはやっぱりイジメにあったのだと、今はキレイゴトを並べていた自分に腹がたつ。
そしてその相手の子供にも。
読み聞かせボランティアをやっていたけれど、子供の顔を見たら胸ぐら掴みそうになるほど怒っているのが自分でも分かるから、当面ボランティアはお休みにした。
娘は倒れてから何でも話してくれるようになったけれど、やはり娘の一方的な話を鵜呑みにしてはいけないと思い、先日保護者会があったときに先生に聞いてみようかと思っていたら、先生から近寄ってきた。
「お子さんから聞いてますか?」と。
先生は保護者会の前日に、そのひとりの子の母親と話したそうだ。
ずっと問題児で、意地悪をするのは愛情が足りてないからじゃないかとか、ほっとかれているからじゃないかとか、うわさで家庭が問題だといわれていると聞いたことはあったので、学校側や他の被害にあった保護者からとかが、何かしらの方法で問題点を家庭に伝えていたのだと思う。
そして保護者会を前に、いじめられている側からの質問にも答えられるように、先生が事前に家庭訪問に行ったのだろう。
母親は努力しているのだと答えたと言う。
でも改善できてない、と先生が言うと、逆に聞きたい、何をすればといいんですか?と言われたと。
ほんとにね、
いったい何が足りなかったのだろうか?
例えばいっぱい抱き締めてあげてきたのだろうか?いっぱい触れ合っていたのだろうか?いつも話を聞いてあげてきたのだろうか?
愛情って何をすれば与えられるのだろう?愛情って何?
答えられないけど、でもやっぱり、絶対的に愛情が足りてないんだよ。
子供が欲しがっているものを与えてこなかったんだよ。
でなきゃ病気だよ。
「お友達で嫌いな子がいるの。みんな好きになるなんてできないの。嫌いな子がいてごめんね、いいこじゃなくてごめんね。嫌いな子がいるなんて言って悲しませてごめんね。」
と言った娘を、私はすごく優しい子に育ってくれたと誇りに思っているし愛している。
でもこんなに愛しているけれど、子供を置いて出掛けることもあるし、子供と離れてホッとする時もある。
お風呂には一人で入りたいし、夜中のトイレは一人で行って欲しいし、一晩中夜泣きをすれば憎らしく思うこともある。
どんなに愛していても、べったりと側にいられるものではないことはわかっているし、子育ての何が正解かなんて提示できるものでもない。
だから人の子育てをどうこう言えないのがもどかしい。
でも私はいっぱい抱きしめてきた。いっぱい触ってきた。
自分の子供をすごくいい子だと自慢できる。
私のしてきたことなんて母親としたら当然で、些細なことだったのだと思う。
でも頑張ってきた。子供が幸せでいられるようにと。
子供の幸せを願わない親はいないと信じるなら、その保護者に憎しみをぶつけるわけにもいかなくて、子供の胸ぐら掴んで「イジメなんかすんじゃねー!」と怒るのも違う問題を招くからできないと理性では思う。
けれど、その子供に、どうかお願い、どこか見えない所に行ってください、
うちの大事な娘をいじめないで、かかわらないで、と思ってやまないのです。
PR