「立ち退きのことで役所から電話があったんだけど、何を言ってるかわからないの」
仕事に向かうために自転車に乗っていて、雨に降られて合羽を着ようか迷って一瞬立ち止まった時に気付いた着信音。
急いでいたし雨も降りそうだったからカバンの奥に入れていて、絶対に気づくことのない状態で携帯電話の着信に気がつくと言うことは、何かあったんだ!と直感が。
案の定、母の泣きそうな声。
耳が遠い母は、電話が苦手だから、役所には母ではなく必ず私に電話してくれと頼んでおいたのに、母に電話が掛かってきたために、一気に不安が爆発したらしい。
「役所が何を言ってきたの?」
と私が母にいくら聞いても、私の声が届かなくてまったく要領を得ない。
聞き取れた言葉を合わせてみると、おおよそ聞きたくなかった返事というか話だったと思ったらしい。
「どうしたらいいの?」
「何を言ってるかわからないのに、どうしたらいいかなんてわからないよ。私が仕事終わったら役所と話をつけるから、それまで待ってて。」
それだけ言って電話を切って、仕事を終えたあと電話をかけ…ようと思ったら携帯の充電切れ。
仕方なく電話をかけないで家に帰ってみれば、こまごまとした用事がめいっぱい。
急いで用事をすませ、いざ電話!と思ったら、母から電話。
「あー?○○ちゃん?お母さんよー。あのね、お母さんがね、電話じゃ聞こえなかっただろうからって、さっき担当の人が訪ねて来てくれてね、大丈夫だったの~」
「大丈夫って…なにが?」
「心配かけたわねーじゃあね」
「だーかーらー何がどうなったの?」
「え?なに?だからもう大丈夫みたいなのよ。詳細はね、また教えてくれるって」
「だから大丈夫って何が大丈夫なの?詳細って何のこと?」
「ありがとう~コレで安心よ」
「だから…」
唐突に切れる電話。
あーーーー、もう。私の声、聞こえていない…。
役所に電話をかけて詳細を確認して、一応、母たちの希望が一部かなったらしいことがわかった。
役所の人が言うには、父も母も喜んで、役所が提示した案に賛成したと言う。
だからそれで話を進めることになりました、と。
でも母の希望をかなえる為に各方面に奔走していた私って一体何?としばし呆然。
弁護士だの、司法書士の先生に書類の作成依頼だの、それで話がつかなかったらマスコミに言うぞーなんて意気込んでばたばたとしていたというのに。
それでよかったの?望みがかなったっていっても、ほんの一部だよ?
希望がでてきた喜びがちょっとと、怒りとか放心とか無気力とか、まぜくちゃで訳わからない何だか複雑な心境のまま、手だけが夕食を淡々と作ってた。
良くも悪くも答えが出て、でも答えにはいろいろあって納得できないこともあるけれど、諦められるところは諦めて、少しでも嬉しいことが見出せるのであれば「解決」ってことでいいのかな。
次から次へと問題は起こるけれど、ちゃんと向き合って対応しているのなら、結果は関係ないとか?
いろんな言葉を飲み込んで、もう、いいや、とやっと思えたのは夕食のとき。
ダンナに話しているうちに気持ちが落ち着いてきて、喜んでいるのならもういいのかなって思えてきた。
なにはともあれ、心にずっと引っ掛かっていた問題が、また一つ、解決に向かい始めました。
私の願いは、みんな幸せならそれでいいってことなのだから、喜んでいるのならこれでいい。
そしたら突然鼻血。
何年ぶり?
血液って不浄のもの?だったら悪いものが出て行ったのかしらん?身体が浄化しちゃってたりして(笑)
んなわけないか。
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